こんぽたと深夜の山登り【日常】

午前0時。

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夏の気配を感じるも、まだこの時間には少し肌寒さを感じるH駅前は、n次会に向かう大人達と大通りを軽快に飛ばす車の音で若干の賑わいを見せていた。

 

駅では次が最終電車である旨が繰り返し案内され、急ぎ足で駅に向かう会社員を横目に、1人黄昏れていた。

 

 

 

話の発端は1週間前。

 

TLで1つの綺麗な夜景写真を見つけた。

 

聞くと、深夜のうちに山登りをして山頂から撮ったものらしい。

 

めっちゃ綺麗やん→よしぽたもやるか

 

という安易な発想で計画を始めたのが数日前、あまりにも安易すぎて問題が幾つかあることに気づいた。

 

 

1つ、山登りの経験が1ミリもないこと。

 

1つ、そのため山登りに関する道具を全く持っていないこと。

 

1つ、真っ暗闇がめちゃくちゃ苦手だということ。

 

 

写真をあげていた某、S氏とするが、は山登りに関しては得意と聞いている。

 

恐らく深夜の山登りに耐えうるだけの装備と経験を備えているものと推測されるが、こんぽたには全く持ち合わせていないものであった。

 

さらにちょうどその前の週にゆるキャン△2の極寒キャンプ場で凍死寸前まで行く話(?)を見たばかりであり、自然こわいよーとなっている時点での計画である。

 

 

暗闇に関してだが、都会っ子(?)なので街灯の無い場所が相当に無理である。

 

以前宮城県南三陸町に防災行政無線を聞きに行ったが、鳴動時間が21時とかいう狂った時間に鳴るということもあり、街頭もあまりない田園地帯・山道を行かねばならなくなったことがあった。

(動画は別の方があげていたもの)

youtu.be

 

 この時は同行者がいたからよかったものの、1人だったら絶対辿り着けていなかったと思う。

 

 

 

閑話休題

 

そういった事情もあり、山選びにはかなり難航した。

 

数日間悩みぬいた末、H駅にあるS山に決定した。

 

この山を選んだ理由はいくつかあって、

 

 

1つ、地元の小学生が登山で訪れること。

 

1つ、登山マップが整理されていること。

 

1つ、車で山頂まで登れるように舗装された道があること。

 

 

上記3点よりこんぽたでも行けるのではと判断した。

 

 

 

 

唯一懸念点だったのが、舗装された道はあるものの歩道はなく、歩くには適していないと考えられることであった。

 

そのためとりあえずは車の来ない登山道を行くことに決めたのである。

 

 

 

 

 

場面は最初に戻りH駅。

 

一応来る前に百均で懐中電灯を購入した者の、H駅周辺では全く必要ないようであった。

 

さて、初心者でも登りやすい山をチョイスしたためか、ここで一つ問題が発生した。

 

このままではあまりにも到着が早いのである。

 

今から行くとおそらく2時くらいには山頂に着くと思われる。

 

しかし、ここまで来たからには夜景と、そして朝焼けに染まる街並みを見たい。

 

日の出は4時半だが、一体何時ころから明るくなるのか。。。

 

 

 

Google先生によると、薄明りには「市民薄明」「天文薄明」が存在するらしい。

 

「市民薄明」は人がライトなしで活動できる時間帯を言い、大体日の出の30分前からのことを言う。

 

一方で「天文薄明」は星明りよりも空が明るくなる時間帯を言い、これは日の出の1時間半前からの時間帯を指すらしい。

 

思ったより天文薄明の時間が長いなと思いつつ、3時半に着けば暗闇が明るくなる様が見えるのかも?と考えた。

 

そうなるとどこかで1時間半潰す必要があるな。。。。

 

あまりやっている店もないし……。

 

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気付いたらネットカフェに吸い込まれていた。

 

昨今の経営状況を反映しているのかどうかは定かではないが、いつもなら終電を逃した人でにぎわいそうなネカフェも閑古鳥であった。

 

入店してお菓子サービスを行っているとの説明を受け、ガムをいただいた。ネカフェは何度も言ったことがあるが、このようなサービスを受けたのは初めてのように思う。

 

リピーター獲得には手段を選んでられないのかもしれない。

 

 

 

何度もネカフェには来たことがあるといったが、意外にもネカフェ利用はご無沙汰であった。

 

ネカフェを宿にするような旅がなくなってきたからであるように思う。

 

 

どうも最近車旅・温泉宿泊というスタイルでの旅行が多くなってきているようで、ネカフェに対して風当たりの強い人が多くなっているのは悲しいところではあるが、個人的にはネカフェは大好きである。

 

ブースに入った時、周りになんでもあるこの全能感がたまらない。

 

漫画も結構な種類そろっているのもポイント高い。(よんだことはない)

 

 

 

 丁度てーきゅう視聴を強いられており(誰に)、何かにとり憑かれたかのようにてーきゅうを無限にみること1時間半。

 

あっという間に退店時間となっていた。

 

てーきゅうの記事は書けたら書きたいね。。。

 

 

 

 

流石に2時にもなると、街が微睡に包まれ始めていた。

 

広場でたむろしていたn次会の大人たちも段々と元気がなくなってきたようで、そろそろ帰宅しようという雰囲気を醸し出していた。

 

人通りの少なくなった市街地を抜け、山へと歩を進めはじめることにした。

 

 

 

 

山歩きといえど、実は山の部分はそんなになく、最初はただ広い道を歩くだけなのでとても順調であった。

 

歩道はほとんどすれ違う人もなく、車道もタクシーが暇そうに流しているだけ。

 

若干暗くはあったものの、街灯も整備されているので特に問題なく歩みを進めることができた。

 

そんな暗い中でも一際明るいのはコンビニである。

 

怖がりなこんぽたにとって、24時間煌々と光をともし続けるコンビニの存在はありがたかった。

 

 

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途中でこんなセブンイレブンを見つけた。

 

看板の形が初期のものなのでオールドセブンか!?と思ったけど店舗番号20000台とまさかの新しさ。

 

店舗番号が途中で変更された??それともこの店舗番号でもこのような古い形のセブンイレブンは作られていたのか……。

 

謎は深まるばかりである。

 

 

 

 

 

市街地から少し離れると、道は広いものの若干車通りが少なくなり、さらに心細くなる。

 

道中ローソンに寄った。目的地までの最後のコンビニである。

 

ネットで遭難に備えてプロは常備食を持っていると書いてあった。流石に標高が標高なので遭難はないだろうと思ったが念のためおにぎりを買った。

 

深夜でもありがとうございましたと挨拶をしてくれる店員の言葉を背に受け店を出る。

 

そして後ろを振り返ったその時。

 

 

 

 

なんと空が白み始めていた。

 

最初はコンビニの明るいライトの影響かと思ったが、どうもそうではないらしい。

 

時刻は午前3時、ネットで見た「天文薄明」の時間が始まっていた。

 

 

 

 

完全に予定が狂っている。

 

自分の目標は暗いうちに山頂に辿り着くことであったのに、いまだ府道を進んでいるばかりで1mも山登りらしい山登りをしていないのである。

 

これはまずい。

 

若干歩を早めつつ、先へと進む。

 

ローソンを過ぎると、急に歩道がなくなり街灯も少なくなった。

 

街灯と街頭の間は視認できないほど暗くなってきたので、懐中電灯とスマホのライトで精一杯自分の存在を車道の車にアピールする。

 

 

 

幸いこの時間に車道を通る車はほとんどなかったため、なんなく登山道の入り口に辿り着いた。

 

ここからはメインの車道から外れるので、車の心配はあまりない。

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……が、とてつもなく急な坂道が待ち構えていた。

 

エアリズムに服1枚という軽装でも汗をかくような勾配の坂を、ゆっくりではあるが着実に進んでいく。

 

急な坂も最初は舗装されていたものの、坂を上り切ったころには舗装もなくなり、それに応じて街灯がなくなった。

 

そして道が土と細かい枝、そして草になるころには、完全に街灯がなくなった。

 

 

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(懐中電灯のライトです)

 

目の前に見えるのは、懐中電灯とスマホのライトのみ。

 

横幅も人がすれ違えるかどうか暗いの幅しかなく、両サイドも上空もすべて木々と草に囲われていた。

 

自分で踏んで折れた小枝の音にビクッとしながら、一歩一歩進んでいく。

 

 

 

ここでようやく後悔し始めた。

 

どうしてこんなところに来てしまったのか。

 

なんでこんな時間にこんなことをしているのか。

 

どうして一人で来ようと思ったのか。

 

引き返そうにも暗く、行くも地獄引くも地獄である。

 

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行く手を何かにさえぎられた。

 

見るとフェンスのようだった。

 

何か動物の脱走防止なのか、侵入防止だったのか、怖すぎて覚えていない。

 

ただ一つハッキリと覚えているのは、注意書きがあって、この先に入る時はこのフェンスのカギを開けて入って、しっかり閉めてくださいねということであった。

 

つまり別に侵入を阻害するものではなく、ただ鍵を開けて入ればいい。

 

 

……。

 

 

 

…………。

 

 

 

帰ろう。

 

もう無理。

 

山に入ったこと自体間違いだったんだ。

 

 

フェンスで遮られているのを見た時、心の中で喜んでいる自分に気づいてしまった。

 

坂の勾配に身を任せるようにして下り降り、一気に街灯と舗装のある道まで出た。

 

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街灯。

 

それは人類の発明した英知。

 

暗いとか本数が少ないとか文句言ってごめんなさい。

 

 

 

 

今後の方針はもう決まっていた。

 

あの山道の怖さを体験するくらいなら、歩道のない車道の脇を歩いている方が何千倍もマシ。

 

それによくよく考えるとここまでほとんど車にすれ違っていない。

 

かなり大回りにはなるが、結局車道まで引き返したのである。

 

 

 

 

 

予想通り、車はほとんど来なかった。

 

だらだらと緩い勾配が続き、徒歩ではかなりつらい道のりであったが、なんとか歩き続けること数十分。

 

遂に山頂から人の声が聞こえたのである。

 

 

 

山頂に着いたのは3時半を少し回ったところであった。

 

展望台には思ったよりも人がたくさんいた。

 

みな車で来ているようだった。

 

若者の元気な声を尻目に、展望台に上がってみる。

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思ったよりも綺麗だった。

 

正直、この時間にこれだけのライトがついていることがかなり意外だった。

 

若干明るくなりかけていたものの、まだ懐中電灯が必要な時間帯で本当に良かった。

 

 

 

風が強かったので、少し風をよけてベンチで休憩する。

 

この展望台に来る人は、みな大学生くらいのグループであった。

 

誰かと来ればよかったなぁと思ってみるが、もう後の祭りである。

 

 

 

とようやく山登り意外に思考が向き始めて、ようやく足が相当に疲れ切っていることに気づいた。

 

自販機が動いていたので、コーヒーを買いながら一息。

 

気温的には丁度良かったものの、風が強かったのでホットにした。

 

 

 

もう一度展望台に行ってみる。

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空が完全に明るくなり始めていた。

 

午前4時、市民薄明の時間である。

 

 

 

その後日の出まで時間をつぶしてみたが、雲が多く太陽を拝むことはできなかった。

 

おにぎりを食べて、下山することにした。

 

すっかり明るくなっていたので、帰りは山道でもしっかり下山できた。

 

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山道であるが、こんなことになっていた。

 

これ真っ暗闇の中で歩くのはかなり危険であったような気がしてならない。

 

他にも暗闇であれば危険であろう場所を行き、舗装のある道に辿り着いたのは5時を回ったころであった。

 

 

 

駅に辿り着いてから帰りに見た朝焼けの景色もこれまた綺麗で、別に山に登る必要なかったのでは???と思った。

 

だが普段こんなことはしないので、貴重な体験だったと思う。

 

今度やるなら誰かとにしたいね。